海洋散骨は近年、注目されている葬送のひとつです。「お墓の継承者がいない…」「孫子の世代に経済的な負担をかけたくない…」といった理由から、多くの人に選ばれています。この記事では、そんな海洋散骨を鳥取県で実施する際におすすめの業者をご紹介します。また、海洋散骨の概要や料金プラン、注意点もあわせて解説しますので、海洋散骨に興味をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください
海洋散骨とは?
海洋散骨とは、故人の遺骨を海へ撒く葬送のことです。日本では1990年代後半から徐々に広まり、従来の埋葬や納骨堂での供養に代わる新しい選択肢として注目されています。
散骨は、宗教や宗派を問わず実施できるため、無宗教の方や自然志向の方、生前に「お墓はいらない」と希望された方など、幅広い人たちから選ばれています。近年では、ガイドラインも整備され、一般的な葬送の形のひとつとして浸透しつつあります。
しかし、散骨はルールやマナーに則って行なう必要があります。その点については後述します。
鳥取県の主な散骨エリア
鳥取県は日本海に面しており、海洋散骨に適したエリアが複数存在します。特に鳥取砂丘をはじめとした海岸線や、境港周辺、浦富海岸エリアなどがよく選ばれています。
鳥取砂丘・鳥取港エリア
鳥取市の名所でもある鳥取砂丘周辺の海は、広大な日本海を望むことができる散骨ポイントとして人気があります。鳥取港近くを出航し、一定の距離を取った沖合いで散骨を行なうのが一般的です。この地域は、海が比較的穏やかで、船の出航も安定して行なえるため、多くの業者が利用しています。
海洋散骨の料金プラン
海洋散骨は主に3つのプランで構成されています。
- 委託(代行)散骨プラン
- 合同(乗り合い)散骨プラン
- チャーター散骨プラン
ひとつずつ説明します。
委託(代行)散骨プラン
委託散骨プランは、遺族が立ち会わず、専門の業者が代理で遺骨を海に散骨してくれる方法です。このプランでは、シンプルな散骨になることが多いのが特徴です。鳥取県内では、委託散骨の相場は3万円から6万円程度です。多くの業者では、料金に粉骨費用を含めていますが、一部の業者は遺骨の引き取りや粉骨費用をオプションとして設定しているところもあります。事前に詳細を確認しましょう。
合同(乗り合い)散骨プラン
合同散骨プランは、複数の家族が同じ船に乗り、指定の場所で散骨を行なうプランです。他の家族と一緒に散骨を行なうため、個別のチャーターに比べて料金を抑えられます。鳥取県での合同散骨の料金は、10万円~20万円程度となっています。乗船人数によって料金が変わるため、事前にチェックしておくことが大切です。
チャーター散骨プラン
チャーター散骨プランは、1組の家族が船を貸切って散骨を行なうプランです。合同散骨とは異なり、希望の日時で散骨できる点が大きな魅力と言えます。家族や親族のみでゆっくりと故人を見送りたいときに最適です。鳥取県におけるチャーター散骨の相場は、20万円~30万円程度です。具体的な料金は、乗船人数や船のサイズ、献花・献酒、船上でのセレモニー、記念撮影などのオプションによって変動します。
信頼性が高い海洋散骨業者の見極め方
海洋散骨では、信頼できる業者を選ぶことがとても大切です。ここでは、そんな信頼性の高い業者を選ぶ際のポイントを解説します。
地元鳥取での実績が豊富であるか?
海洋散骨については、地域ごとでルールが設けられていたりします。そのため、その地域での散骨の実績が豊富であるかは重要な選定基準となります。鳥取県での散骨の実績がある業者は、その地域での散骨のルールを認識しているため、トラブルを招くことなく散骨を行なえます。公式サイトで実績件数や過去に実施した散骨事例が明示されているかを確認しましょう。
協会へ加盟している事業者か?
海洋散骨に関する団体として、日本では「全国海洋散骨船協会」や「日本海洋散骨協会」などがあります。これらの協会では、適切な方法で散骨を実施するためのガイドラインを設け、日々、それが浸透するような活動を続けています。つまり、協会へ加入している業者であれば、両協会のガイドラインに沿って散骨を行なうため、安心安全な散骨を行なえます。公式サイトに協会への加盟が明示されているかどうかチェックしましょう。
海洋散骨ディレクターなどの有資格者が在籍しているか?
安全かつ適切な海洋散骨を行なうには、専門的な知識や技能を持った人材が必要です。そのため、その業者には全国海洋散骨船協会が認定する「海洋散骨ディレクター」や、日本海洋散骨協会が認定する「海洋散骨アドバイザー」を持つスタッフが在籍しているかも見ておきましょう。資格保有者の有無が示されていれば、遺族の意向やマナーを尊重した対応が期待できます。
手元供養などのオプションが用意されているか?
海洋散骨には、遺骨の一部を手元に残す「手元供養」や、メモリアルグッズの製作などのオプションも用意されています。それらのオプションが整っている業者であれば、ニーズに合わせたサービスを期待できます。公式サイトや資料を確認し、どのようなオプションがあるか確認しましょう。
おすすめの海洋散骨業者4選
株式会社Aクルーズ(みんなの海洋散骨)
株式会社Aクルーズは、全国で海洋散骨サービスを提供している業者です。同社は、豊富な実績だけでなく、厚生労働省の「散骨に関するガイドライン」を徹底遵守。環境や周囲への配慮を徹底した散骨を実施しているため、信頼性が高いと言えます。
また、粉骨から散骨までを自社で一貫して行なえる点も同社のポイントです。中間コストを削減しつつ、質の高いサービスを提供することに成功しています。さらに、手元供養や納骨代行などのオプションも充実しています。幅広いニーズに応えてもらえるでしょう。
料金プラン
委託(代行)散骨プラン:44,000円(税込)~
合同散骨プラン:132,000円(税込)~
チャーター散骨プラン:242,000円(税込)~
株式会社はるか(海洋散骨はるか)
株式会社はるかは、旅行代理店としての豊富な経験を活かし、故人の想い出の海や故郷の海への散骨サービスを提供している業者です。観光庁指定協会の正会員であり、全国100箇所以上の出発地から貸切船での散骨を手配しています。
また、同社では海洋散骨ディレクターが在籍。ルールやマナーに則った散骨ができるため、トラブルなく、安心して故人を送り出すことができるでしょう。一人30,800円と料金体系がシンプルな点も魅力です。
料金プラン
チャーター散骨プラン:一人30,800円(税込)
株式会社LikeFamily(ライクファミリー)
株式会社LikeFamily(ライクファミリー)は、鳥取県の浦富海岸沖をはじめとする全国各地で、家族の想いに寄り添った海洋散骨サービスを提供している業者です。最大の特徴は充実したサービスで、遺骨の粉骨処理から献花、散骨の様子の写真撮影、散骨証明書の発行までプランに含まれています。
また、船舶保険や乗船者の保険にも加入しており、利用者の安全面にも徹底配慮。さらに、環境への配慮として、水溶性の紙を使用し、六価クロムの無害化処理も実施しています。遺品整理や墓じまいなど、終活全般のサポートを行なっている点もポイントです。
料金プラン
委託(代行)散骨プラン:55,000円(税込)~
チャーター散骨プラン:275,000円(税込)
メモリアルチャータープラン:242,000円(税込)
LDT株式会社(やさしい海洋散骨)
LDT株式会社は、鳥取県を含む全国各地で海洋散骨サービスを提供している業者です。最も手軽な「代理プラン(シンプル)」は44,000円(税込)から利用可能で、スタッフが心を込めて散骨を代行し、散骨証明書も発行してもらえます。
また、乗船できない方のための「代理プラン(おまかせ)」や、複数の遺族で行なう「合同プラン」、家族や親しい人だけで行なう「貸切プラン」など、ニーズに応じたプランが用意されている点もポイントです。さらに、宇宙への散骨や粉骨のみの対応など、柔軟なサービス内容も魅力のひとつと言えます。
料金プラン
委託(代行)散骨プラン:55,000円(税込)
合同(乗り合い)散骨プラン:159,500円(税込)
チャーター散骨プラン:269,500円(税込)
海洋散骨で注意すべきこと
遺骨を海洋散骨する際には、いくつか注意しておきたい点もあります。ここでは、主な注意点を3つご紹介します。
遺骨は粉骨(パウダー化)する
海洋散骨では、遺骨をそのままの形ではなく、粉骨(パウダー化)した状態にします。この理由は、遺骨が自然環境へ与える影響を最小限に抑えるとともに、海上での視認性をなくしたり、周囲の方々に配慮したりするためです。
通常は、2mm以下の細かな粒子状にするのが一般的です。また、粉骨する際は、必ず専門の業者に依頼しましょう。専門の業者は専用の機械を持っていることが多く、確実に適正な粉骨を実施してくれます。
地域住民や漁業関係者、観光客への配慮を心がける
海洋散骨は沖合で行なうことが一般的ですが、実施場所や時間帯を選定する際には、地元の住民や漁業関係者、観光客に十分注意する必要があります。生活圏や漁場、観光地の近くでの散骨は、トラブルを招く原因となるためです。
そういった場所から距離を置いて、散骨を行ないましょう。望ましいのは、海岸からは1km以上距離を取ることです。
また、散骨時に花びらや献酒を行なう場合も、自然環境に配慮した素材のみを使用したり、投下する量を少なくしたりするなど、慎重に対応しましょう。
服装に気をつける
海洋散骨は葬送の儀式ですが、服装については喪服や黒一色の衣装にしないのが推奨されます。これも周囲の人たち(漁業関係者や桟橋など)の感情に配慮するためです。散骨では、カジュアルで落ち着いた服装にしましょう。
また、海上では天候や風の影響を受けやすいため、動きやすく滑りにくいシューズや、帽子・ジャケットなどの防寒対策も忘れないようにしましょう。参列者全員が周囲や環境に配慮した行動を心がけることが求められます。
海洋散骨の気になるあれこれ
海洋散骨は違法な葬送?
海洋散骨は、近年日本でも認知度が高まっている新しい葬法の一つです。ただ、「遺骨を海に撒くことは法律に違反しないのか?」と不安に感じる方も多いでしょう。現状、日本国内では『墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)』において、明確に海洋散骨を禁止する規定はありません。
また、法務省や厚生労働省も、散骨は葬送を目的として節度を持って行なわれる限り、違法には当たらないというような見解を示しています。そのため、ルールやマナーを守って散骨を実施する限りは、違法ではないと考えられています。
海洋散骨のメリット・デメリットは?
海洋散骨には、従来の墓地を維持する必要がない点や、自然葬として環境に寄り添うイメージから、たとえば、子どもへの経済的負担を残したくない、自然回帰を望むといった理由で選ばれることが多いです。また、散骨された場所にいつでも行ける訳ではありませんが、開放的な景色や思い出の海に還れることを魅力に感じる方も少なくありません。
しかし、長年にわたり家族のお墓を守ってきた習慣がある方や、故人の供養をどのような形で続けていくのか不安な方もいます。そのため、個々人の宗教的な感情や価値観への配慮は欠かせません。散骨を考える際は、家族や親族とよく相談して決めることが大切です。
海洋散骨は後悔する?
実際に海洋散骨を選択した後に「本当にこの方法でよかったのか」と思い悩むケースもあります。特に、散骨後はお墓が存在しないため、手を合わせる場が失われたことに寂しさを覚えるという声があります。
また、親族が高齢になるにつれ、思い出の場所として訪れることが難しくなる場合や、海上の法要などを行なうことが難しい地域もあります。そのような理由から、散骨したことを後悔してしまう人もいます。
まとめ
海洋散骨は、新しい葬法のひとつとして注目を集めています。しかし、散骨する際には周囲の人たちへの配慮が欠かせません。トラブルなく満足できる散骨を実施するためにも、信頼できる業者を選定し、散骨に臨むことが大切になります。